火事の家から逃れた松平直政の肖像
どんな伝承か
著者の姻戚にあたる岡家では、旧藩主の祖先松平直政が自ら描いた肖像を箱に納めて神棚に祀っていた。ある日、家の者がみな留守の間に火が出て家は丸焼けになったが、焼け跡を探すと、屋敷の中からその肖像の掛け軸が無事に見つかったという。人の思いのこもった品がひとりでに飛び出して火難を逃れた例として語られている。
原典より
又著者方の姻戚の岡氏では、旧藩主の先祖松平直政の自筆の肖像を神棚へ箱入りにして祀ってゐたが、或る日一家不在中に失火して全焼をした後に、邸内の竹籤の中から、右の画像の軸物が発見された。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。