事故の娘を呼び戻した弟の霊
どんな伝承か
昭和五十四年頃かという正月の十四日、女川にいる娘が交通事故に遭い、一時気を失って死んだようになった。石巻へ運ばれてレントゲンを撮り終えた頃、ああ寒いなと思って気がついたという。年が改まった頃、足を引きずって医者へ通っていたとき、石巻の神さまと呼ばれる巫女のような人がたまたま来合わせ、娘の顔をしげしげと見て、あなたの家には、あなたと同じ左足を怪我して亡くなった十三くらいの弟がいるだろうと言った。飛ばされて落ちた瞬間に死んだのを、学校へ行く子が二人もいて家が立たなくなると、その弟が一生懸命呼び起こして助けたのだ、家へ帰ってよく拝みなさい、と告げられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。