石けり中に聞いた父の呼び声
どんな伝承か
昭和十六年三月二十三日昼頃、小学一年の終わり頃だった岩田美智子は、家の前で一人石けりをして遊んでいると、遠くから「ミチコー、ミチコー」と呼ぶ声が聞こえたので「ハーイ」と答えて家に駆け込んだ。家にいた伯母は呼んでいないという。まもなく病院から父の死の知らせが届き、息を引き取る時に父が娘を呼んでいたことがわかった。その時、お経を唱えていた信心深い近所の老女は、線香がすっと消えたので何かあったのではと感じたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。