菩提寺を訪れた豪家主人の姿
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どんな伝承か
人の名は忘れたが、遠野の町の豪家で、主人が大煩いをして命の境に臨んでいた頃のことである。ある日ふとその主人が菩提寺を訪ねて来た。和尚は鄭重にあしらって茶などをすすめ、世間話をした。やがて帰ろうとする様子に少々不審があったので、跡から小僧に見に行かせると、門を出て家の方に向かい、町の角を廻ったところで見えなくなった。この道でこの人に逢った者はほかにもあり、誰にもよく挨拶して常の体であったという。だが主人はその晩に死去しており、もちろんその時は外出などできる様態ではなかった。後に寺で、茶は飲んだかどうかと茶碗を置いた処を改めてみると、茶はみな畳の敷合わせにこぼしてあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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