常堅寺を訪ねた老人と畳の茶
どんな伝承か
土淵村大字土淵の常堅寺は曹洞宗で、遠野郷十二か寺の触頭である。ある日の夕方、村人の何某という者が、本宿から来る路で何某という老人に出会った。この老人はかねて大病をしている者だったので、いつの間によくなったのかと問うと、二、三日気分もよろしいので、今日は寺へ話を聞きに行くのだと言い、寺の門前でまた言葉を掛け合って別れた。常堅寺でも和尚は、この老人が訪ねて来たので出迎え、茶を勧めてしばらく話をして帰した。これも小僧に見させたところ、門の外で見えなくなったので、驚いて和尚に語った。よく見ると茶はまた畳の間にこぼしてあり、老人はその日のうちに失せていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。