痔と称して便所にこもった名医の応召兵
どんな伝承か
昭和十四年夏、大阪の八連隊に四十一歳で応召した東京大学出の小児科の名医は、上官に口うるさく言われるたびに、痔だと言って便所に隠れていた。便所の中ではいつも資料の整理をしていたらしく、それもあって黙認されていたようだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。