名馬に荷を積んで帰った大隊長
どんな伝承か
昭和二十年夏の頃のことである。大隊長のA氏は陸軍大尉で豪勇の士であったが、終戦となるととたんに小さく見えた。見習士官の中から軍財産の整理を任せ、棚卸表と財産目録を作らせて、すべて換金させた。ところが馬一頭だけはどうしても残しておけという命令であった。数日後、その名馬に、残しておいた衣類や毛布や食糧を山と積み、自分は手綱を引いて岩手県へ帰っていったという。
原典より
敗戦を十日に知って一番問題なのは丸太で二百人位いた。—— 現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 軍隊』を小話単位で全712話収録。徴兵・新兵・上官・戦地・戦争の残虐・敗戦・収容所・軍隊の怪談など、軍隊と戦争にまつわる兵士たちの現代民話を全国(一部は戦地・海外)から採集し話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明189話・市区町村判明76話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。