本吉嶺山の押入れ縄抜け
どんな伝承か
二十年ほど前、東京麹町のある家で霊媒の本吉嶺山を囲んで数人が話していると、心霊研究に新参の者が物理的心霊現象を見せてほしいと懇望した。キャビネットがないので方三尺の押入れが代用された。本吉は両手を胸の前で交叉して麻縄で縛られ、結び目に紙を巻いて糊づけし、その上に認印を押された。押入れに上げて戸を閉ざし、うなり声で開けると縄は見事に外れ、結び目も糊づけの紙も印もそのままだった。二度目には縛られたままの両手が後ろに回り、三度目には胸の前で縛られた手はそのままで、肌着の襦袢が脱がされ、温もりを残して傍らに落ちていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年))
『第四の世界―心霊現象のなぞをとく』は、田中千代松が一九六〇年に著した心霊現象の解説書である。予言・千里眼・霊聴・霊言・自動書記・サイコメトリーなどの霊能から、幽霊の体験記、物質化した霊像、叩音、物体移動、心霊写真、ルルドの奇蹟、起訴された霊媒、デューク大学の超心理学までを、日本と欧米の事例を交えて扱う。東京大学教授後藤以紀の推薦文とまえおきに続く十六章で構成し、むすびで心霊研究のあり方を論じる。