箱を背負ったまま縁台に坐る女
どんな伝承か
秋田の雄物川の川口には、平生から荷物船が船がかりしているので、菓子や鮓の類を売りに行く者があった。梅雨で川の水が一杯になっていたある時、物売りの女の一人が長方形の大きな菓子箱を背負い、艀に乗って漕いで行った。流れが早くて自由が利かず、艀は押し流されて、荷物船から岸へ張った綱の下に入り、女は体を綱に弾かれて川に落ち溺死した。夫も子もある貧しい家で、女の稼ぎで暮らしていたので後の者は困った。ある夜、その家の前を通った者が、縁台に大きな箱を背負って腰かけている、髪も衣服もびしょ濡れの女の姿を見たという。
原典より
* 姉の死 (187)* 按摩の阿岩 (189)* 北海道から帰った男 (191)* 艮の金神 (192)* 首切り石段 (194)* 大蔵省の大法会 (195)* 擂鉢山の怪談 (196)*…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話