生後二月で見た祖母の湯浴み
どんな伝承か
福島県伊達郡に住む塩谷れつ子は、昭和四年に新潟県水原町の旅館の長女として生まれた。生後一、二か月の頃、祖母に抱かれて入浴させてもらっている自分を、体外離脱して祖母の頭より少し高いところから四十五度ほどの角度で見下ろしていたという。祖母は黒っぽい着物を着てしゃがみ、白い布で裸の自分をくるんで、左手で頭を支えていた。風呂場は三畳ほどで周囲は黒く汚れて暗く、見ていて恐い気がしたという。小学生の頃にこの話をすると、母と祖母は夢だろうと笑ったが、その古い風呂場は生まれてすぐ壊されており、話したこともないのにどうして知っているのかと不思議がった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。