急性肺炎の高熱で見た祖父母の姿
どんな伝承か
映画監督の羽仁進は小学二、三年の頃、急性肺炎で死にかかって臨死体験をした。当時住んでいた南沢学園町は自然が豊かで学校は雑木林に囲まれており、特別大きな蛙がいると聞いて、ある雨の日に友達と沼へ入り一日中蛙を捕っていたのが原因だという。高熱で意識不明の状態が数日続き、そのとき自分がベッドに寝ていて、祖父母がやってきて何か言っているのを上から見ていた。声は聞こえなかった。不思議なのは、老幼の序に厳しい明治の人である祖父母が、孫にひざまずかんばかりにうやうやしく語りかけていたことだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年))
『証言・臨死体験』は、立花隆が文藝春秋の雑誌『クレア』に連載し、一九九六年に単行本として刊行した臨死体験の証言集である。俳優の安田伸、作家の水上勉、彗星探索家の木内鶴彦、プロレスラーの大仁田厚、映画監督の羽仁進など、病気や事故で死の淵に臨んだ二十三人の体験を、本人や家族からの聞き取りで記録する。各章は人物の略歴と前置きに続けて問答形式の談話を載せ、本人の著書や手記からの引用も交える。