床の間に現れて消えた錦の産着
どんな伝承か
松太郎の妻が女の子を安産すると、天満宮の神が「お照」と名付けた。生まれて三日目、座敷の床の間で物音がしたので見に行くと、小さな八足机の上に萌黄の風呂敷包みが置かれていた。開けてみると、赤地に梅鉢の金紋を織り込んだ緋錦の産衣が入っており、神の指示でこれをお照に着せた。風呂敷を元の机に戻して御礼を述べていると、扉がキイと鳴り、気づくと風呂敷は跡形もなく消えていたという。
原典より
御扉がキイと鳴りましたが、八足の上の風呂敷ハ無くなりました。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。