田圃から近づく神の音楽
どんな伝承か
小竹繁井の直話である。年恵は自分の部屋への他人の出入りを厳禁していたが、繁井だけは例外でよく遊びに行った。普段は変わったこともないが、やがて田圃の方から風鈴の音のような音楽が聞こえて来ると、今どの神様がおいでになるからと言って部屋から出された。千葉家の裏は北向きの田圃である。神によって音楽の音色が異なるというが、繁井にはその区別がつかなかった。部屋の中では神と年恵が談話を交わしていたが、一切聞き取れない。ある時は大黒様が来て縁側で大黒舞を舞い、姿は見えないが衣擦れの音が手に取るように聞こえた。時には障子の孔から金米糖が部屋の内へばらばら投げ込まれ、繁井はそれを戴いて食べたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)