神仏ごとに違う空の楽の音
どんな伝承か
高野寿直の報告によれば、年恵が祈念する時に出現するのは神と仏の両方であった。その際、上空に聞こえる音楽は神仏によって異なり、天照大神は簫、古峰ヶ原金剛山様は笛、大日如来は大きな音の鈴、弘法大師は風鈴で、この風鈴が一番頻繁に現れたという。年恵はまた、よく突然に姿を隠した。今まで神前にいたのが、いつの間にか見えなくなり、しばらくするとまたいつの間にか帰っているのである。食事をせず便通のないことは事実だが、ごく稀に梨や林檎などを少量食べることはあった。ただし信者の持参したものは、あれもいけないこれもいけないと言って、ほとんど手をつけることはなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。