新郎が呼んだ結婚式の快晴
どんな伝承か
必要に迫られたときだけ天気を変えられると知った著者にとって、忘れられないのは自分の結婚式の日だった。一九六五年一月三十日の午後、ドイツ東亜研究協会で式を挙げる予定だったが、前日に冬の嵐と呼ばれる低気圧が西日本を襲い、当日は関東一帯が大荒れと予報された。年配の客が百人以上集まる会だけに、幹事から術を使えとせがまれ、暗くなるころに頼んでみた。その夜の風雨はすさまじかったが、翌朝は雪が五センチ積もった快晴で、低気圧は関西で速度を倍にして夜のうちに関東を抜けていた。幹事は新郎の術のおかげだと披露した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
続 山だ原始人だ幽霊だ(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1972年(昭和47年))
『続 山だ原始人だ幽霊だ』は、西丸震哉が昭和四十七年に著した随筆集で、一冊の予定を前後編に分けたうちの後編である。ニューギニアやニューブリテン島の未開部族を訪ねた探訪記と原始社会の食生活論に続き、幽霊についての自説、自身や身内が出会った怪談、テレパシー・呪い殺し・雨やみの術の実験談を収める。「原始人」「幽霊」「テレパシー」の三部からなり、カバーと挿絵も著者が描いたとあとがきにある。