同じ刻に住職を訪れた米はんの姿
どんな伝承か
大明寺でうたた寝をしていた住職のもとへ、ひどく汚れた着物を着た檀家の米はんが入ってきた。「米はん、どないしたんや、えろうよごれた着物きて」と声をかけても返事がなく、もう一度見るとその姿は消えていた。夜十時半ごろのことである。翌朝様子を尋ねに行くと、ちょうど同じ時刻に米はんが亡くなっており、汚れきった布団と着物を人目に触れぬよう始末した直後だったと知らされ、住職の的中ぶりに皆が驚いたという。
原典より
うたた寝をしていると、米はんがひどくよごれた着物をきてはいってくるんです。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。