山男に連れ去られ妻になった女
どんな伝承か
昔から、人が忽然と消えるのは天狗や鬼、山男、狐のしわざだといわれてきた。ただし、なぜ妖怪が人をさらうのかを説き明かした言い伝えはほとんどない。柳田国男が遠野で集めた話のなかには、山男に連れ去られてそのまま妻になった女の一件が残っている。神隠しに遭うのは幼い子どもが多いから、これはむしろ珍しい部類に入る。消えた者は履物をきちんと揃えていったり、一度だけ姿を見せてまた消えたりする。そうした様子から、さらわれた者は人の目には映らない別の世界へ引き込まれるのではないかと考えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
王権の呪術的起源(ジェイムズ・G・フレイザー(著)/訳者名は原典に無し)
『王権の呪術的起源』は、ジェイムズ・G・フレイザーが一九〇五年にケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで行った講演の本 The Magical Origin of Kings の全訳で、思索社から刊行された。ネミの森の祭司「森の王」の謎を手がかりに、未開社会の呪術師が公共の呪術師を経て王や人神へ成り上がる道筋を、各地の民族誌や古典を引いて説く。全九講に典拠の注と訳者あとがきを付け、訳者は『金枝篇』第一部からの抜粋だと述べる。