幽霊教室と呼ばれた小学校
どんな伝承か
一昨年、東京府下荏原郡大井町の小学校に奉職する教員が、六年間に五名まで肺病にかかったという。しかもそのうち三名は教室にあって死亡したとかで、たちまち幽霊教室の名が伝わり、安心して教鞭をとる者がいなくなったと聞く。筆者はこれを、何か不吉なことが二、三度続くとたちまち妖怪騒ぎ・迷信沙汰を起こす、論理力の薄弱さの一例として挙げている。因果の関係を知ることに疎いために、偶然の重なりを直ちに怪異と断ずるのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。