九十日の絶食で得た飛走と遠視の霊能
どんな伝承か
郷里の山中にこもった田中守平は、明治三十八年の上旬から六月上旬にかけて、合わせて九十日に及ぶ絶食を行った。それを伝える記録は、絶食の記録を破るものだとたたえ、その間に起きた不思議な現象は書き尽くせないほどだったという。暗い夜に物が見え、一時間に六、七里もの山道や谷間を飛ぶように走り、遠くの光景や音を感じ取った。のちに守平が「人霊子作用」と呼んで広めた霊能は、この絶食のさなかに見いだし身につけたものだとされる。
原典より
而して其絶食の期間は三十八年上旬より同年六月上旬に亘る間に於て前後合算満九十日に及び、…—— 霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年))
『霊術家の饗宴』は、井村宏次が一九八三年に著した近代日本の霊術家の歴史である。明治から昭和初めにかけて、気合術・催眠術・霊子術などで民衆の病や苦しみを救おうとした霊術家たちの運動を、当時の新聞記事や刊行物、関係者の家族への取材をもとにたどる。プロローグと六章、エピローグからなり、浜口熊嶽、桑原天然、福来友吉と千里眼事件、太霊道の田中守平を章ごとに取りあげ、霊術ブームと取締法による衰退までを描く。