トヤ坂の狐が演じた忠臣蔵
どんな伝承か
大槌のトヤ坂には悪い狐がいて、通る人をよく化かした。ある人が今日こそ化かされるものかと意気込み、塩引きの鮭を一本抱えてやって来た。坂では狐たちが忠臣蔵の芝居をしており、男は塩引きをしっかり抱いたまま一段目から十二段目まで見届けた。芝居が終わり、それ見ろ俺からは取れまいとあざ笑って歩き出した時、一匹の狐が頭の上に飛び乗った。はっとして頭を押さえようと手をやった隙に、塩引きを取られてしまったという。
原典より
一段目から十二段目が終るまで塩引を抱いて見て居たが—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。