前尻家の散切頭のワラシ
どんな伝承か
和賀郡成島村の前尻という家には、今でもザシキワラシがいる。ある時、裁縫をして歩く婆さんがその家に泊まったら、五、六歳ばかりの散切頭のワラシがとたとたと座敷を歩き廻って、淋しくて寝られず、夜中に外の家へ宿替えをしたということである。その老婆は今も生きていて、やはり人の仕事などをして方々を歩いている。この家のザシキワラシは、いつでも、また誰にでも見えるという。この辺ではザシキワラス、またはザシキボコと呼んでいるそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。