苧殻の橋から釜に落とされた継娘
どんな伝承か
茶椀子という娘の母が死に、後妻が来た。継母は、茶椀子が九つの年に自分が身ごもると、先妻の子がいては我が子が跡を継げないと考え、目籠で釜に水を汲めと言いつけた。川端で泣く茶椀子に小屋の婆が、両袖を水に浸して絞り入れよと教え、釜は満たされた。継母は湯を煮え立たせると苧殻一本を釜に渡させ、これを橋と思うかと問い、はいと答えた茶椀子に渡れと命じた。苧殻は折れて茶椀子は熱湯に落ち、継母は蓋をした。駄賃付けの父が帰ると馬が後ずさりし、湯気の立つ釜を開けると娘が煮られていた。父は代官を招いて酒を勧めてから亡骸を見せ、捕らえられた継母は、近所の女房が持ち寄った薪の火の中で牛裂きの刑に処されたという。
原典より
茶椀子は其苧殻の上に足をかけると折れて倒さまに釜の熱湯の中に落込んでしまった。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。