屁で柿を落とした嫁
どんな伝承か
昔、ある所へ嫁が来た。毎日青い顔をしてふさぎ込んでいるので姑が訳を尋ねると、屁をたれる癖があるという。遠慮なくたれよと言われて嫁がたれると、止めどなく出たあげく最後に大きな一発が出て、姑は吹き飛ばされ、やっと炉端の柱につかまって「嫁やア、屁袋の口をしめろ」と叫んだ。こんな嫁は家に置けないと里へ帰すことになり、姑が送って行く途中、路傍の大きな柿の木に柿が沢山実っていた。姑が甘そうだ食べたいと言うと、嫁は木の下で裳をまくって大きな屁を一つたれ、柿はばらばらと落ちてきた。姑は機嫌を直し、こんな重宝な嫁は里へ帰せないと言って、途中から引き返したという。
原典より
或る所に、余り富裕でない母子の者があつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。