枯れ木に花を咲かせた正直じいさん
どんな伝承か
昔、正直なじいさんがぶちの犬ポチをかわいがって飼っていた。ポチが裏の畑の隅で、ここを掘れと鳴くので掘ると大判小判がざくざく出た。うらやんだ隣の意地悪じいさんはポチを借りてまねたが泥しか出ず、怒ってポチを殺した。正直じいさんは亡骸をもらって手厚く葬り、松を植えた。大きく育った松で臼を作り餅をつくと、また小判が出た。臼を借りた隣のじいさんは泥ばかりなので臼を壊して燃やした。正直じいさんがその灰を枯れ木の梢にまくと見事に花が咲き、殿さまにほめられて宝物を授かった。まねた隣のじいさんは灰が殿さまの目に入り、怒りを買って縛られたという。
原典より
ある日、ポチが裏の畑のすみっこい(へ)行って、「ここほれ、ワンワン」となくむんで(ものだから)、正直じいさんが掘ってみたら、大判、小判がザクザクと出てきた。—— 坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説
『坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説』は、天竜村坂部の民俗をまとめた民俗誌稿のうち、第十二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。さるかに合戦、へび女房、桃太郎、花咲かじじいなどの昔話を語り手の名を添えて土地の語り口のまま記し、先途の七人塚、お万さま、天龍川のかわらんべ、早太郎のひひざる退治など落人や土地にまつわる伝説を並べる。昔話を動物昔話・本格昔話・笑話に分け、伝説、なぞと続ける。