尼の霊が主となった池の大蛇
どんな伝承か
中筋町のうち米市場と通称される場所に、尼が池という池があった。昔このあたりに尼寺があり、住職の尼が武士と情を通じ、身を恥じて池へ身を投げたという。その霊が蛇となって池の主になったと伝えられる。四、五十年前のこと、池続きの宮武家の下男が、池畔の榎と藤の木に大蛇が一匹ぶら下がっているのを見て気を失った。宮武家では池のほとりに石碑を建て、名僧を招いて供養したところ、立ちのぼる煙の中に蛇が姿を見せ、それきり現れなくなったという。
原典より
中筋町の通称米市場と呼ばれているところに、「尼が池」という池があった。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。