杖の一打で湧いた二条の弘法井戸
どんな伝承か
弘法大師が二条町のあたりを訪れたとき、里人たちが親切にもてなしたので、大師は礼のしるしに望みの物を与えようと言われた。二条の人々は良い飲み水がほしいと願い、歌姫の人々は良い着物がほしいと答えた。そこで二条の人々のために大師が掘ったのが、この井戸だと伝える。別の話では、諸国を行脚する大師がこの村で茶を求めたところ、里人は差し上げられる良い水がないと答えた。大師は気の毒に思い、以後水に困らぬようにと杖を振り上げて地面を打った。すると地中から清水が湧き出し、それがこの井戸になったという。
原典より
弘法大師が二条町のあたりにこられたとき、里人たちが大師に親切にしたので、大師は「お礼の印として望みのものを上げよう」とおっしゃった。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。