夜の往診で狐に化かされた医者
どんな伝承か
むかし、竜田村の大谷に漢方医がいた。ある晩、家内が難産で苦しんでいるから早く来てほしいと馬で迎えが来たので承知し、馬で大原まで行ってみると立派な屋敷があった。手を尽くして無事に産ませると酒肴の膳が出され、遅いから泊まっていけと言われて泊まった。夜中、背中がひしゃひしゃするので目を覚ますと、原っぱの真ん中で寝ていた。驚いて帰った医者は、以後夜の往診をしなくなったという。その膳は塗屋という大家の婚礼で作られた料理で、何十膳か作ったうち一膳足りず、それが大原の真ん中にあったのだった。翌晩から医者の縁側には雉や山鳥、兎が置かれるようになった。狐の礼だという。
原典より
その1 むかし、竜田村の大谷に漢方医がおった。—— 富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗))
『富岡町史 第3巻(考古・民俗編)』第九章所収の昔話と伝説。福島県双葉郡富岡町(震災前)に伝わる口承を採録する。