松例祭の火勢で年を占う神事
どんな伝承か
村全体の未来の幸福について神の暗示を得ようと、多くの祭りで占いの神事が行われた。相撲や綱引きは相手と力を競い、勝った側の部落が豊作・豊漁になると占う。秋田県仙北郡の八幡社では雌雄二つの綱で勝負し、雌綱が切れれば米価が上がり、雄綱が切れれば下がると占った。筒粥は筒に入る粥の多少で五穀の豊凶を見る。火を焚いて年を占うことも各地で行われ、山形県の羽黒神社では松例祭のときに火を焚き、その火勢と煙の方向によって年を占うのである。巫を通す「人による神託」に対し、これらは「行為による神託」と呼ぶことができる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。