一夜で築かれた早口沢の大堤
どんな伝承か
黒甜鎖語によると、秋田の早口沢は二十七里にわたる沢で、寛政九年、この沢の六里ほど奥に長さ二里余りの堤が一夜のうちにできた。両側から山が崩れて谷川をせき止めたように見えたが、四、五丈もある大石で築かれていた。この山の入口にはニシゴリという木があり、山中では時に鬼のような童を見ることがあって、ある人が見た大童は、十人でも抱えきれない大石を背負い、うつぶせになって谷の水を飲んでいたという。杣人がニシゴリを焼くといろいろな怪しいものが集まるともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪談義(柳田國男選集 五巻)(柳田國男・柳田國男・妖怪学・1956年(昭和31年))
『妖怪談義(柳田國男選集 五巻)』は、柳田國男が妖怪についての論考を集め、昭和三十一年に自序を付して編んだ論集である。妖怪と幽霊の別を説く総論「妖怪談義」に始まり、川童・小豆洗い・ザシキワラシ・山姥・山男・大太法師・一つ目小僧・天狗などを、各地の言い伝えと方言の呼び名から考える。巻末に全国の妖怪の名を短い説明つきで集めた「妖怪名彙」を置き、大藤時彦の解説を付している。