磐城のモリコと笹はたき
どんな伝承か
福島県下では、ワカ・モリコと称する民間の巫女が古くから活躍したと伝わる。江戸時代の民俗見聞記『磐城枕友』を編んだ磐前郡好間村熊野権現社司の吉田定顕は、その様子をこう記している。山伏や禰宜の妻にもりこがおり、病難災難があれば「笹はたき」を差し、神おろしをして吉凶を告げる。神が乗り移っての託宣だという。男神・女神の二体の木像に、祈願者の奉げた紅の布を幾重にも纏わせて箱に入れ、家々の戸口に立って米銭を受けて廻る。頼まれて木像を両手に擎げ擦り合わせていると、木像はひとりでに躍り跳ね廻り、手を休めようとしても止まらなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点(桜井徳太郎・桜井徳太郎・歴史民俗学・昭和(民俗学))
民俗学者・桜井徳太郎『霊魂観の系譜―歴史民俗学の視点』。日本民俗学を歴史研究と結びつける歴史民俗学の方法を提唱し、古代から現代に至る日本人の霊魂観を追究する。I『民俗学と歴史研究』では日本民俗学の宿命・対象・方法と歴史研究との関係を論じ、II『歴史民俗学の構想』では柳田国男の重出立証法を批判・克服し、奥多摩小河内村の婚姻習俗(朝聟入り型・承認権)を作業例に郷土の民俗像の史的復元を試みる。