島の女すべてが巫女になるイザイホウ
どんな伝承か
沖縄本島の属島である久高島には、部落の女性すべてが巫女になる仕組みがある。十三年ごとの午年、旧暦十一月十五日を中心に前後四日間、イザイホウという厳かな祭りが行われ、寅年の四十一歳から一回り下の丑年の三十歳までの婦人は皆、巫女の資格を得るためにこれに加わらなければならない。出稼ぎや結婚で島を離れた者も、このときだけは必ず帰る掟である。資格を得た婦人は十三年ごとのイザイホウに出るたびに位が上がり、ナンチュからヤジク、ウンサクへと進み、六十歳ごろには最高位のタモトに至るという。
原典より
この加入式への出席義務は絶対的で、他島へ出稼ぎ移住したものも、結婚のため離島したものも、このときだけは何をおいても帰島しなければならない掟である。—— 霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点(桜井徳太郎・桜井徳太郎・歴史民俗学・1977年(昭和52年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点(桜井徳太郎・桜井徳太郎・歴史民俗学・1977年(昭和52年))
『霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点』は、桜井徳太郎が一九七七年(昭和五十二年)に著し、筑摩書房から刊行した論文集である。昭和三十二年から五十年にかけて学会誌や雑誌、新聞に発表した論考を収め、民俗学と歴史研究の関係、郷土の民俗像の史的復元、古代のシャマニズムと憑霊、呪いの人形、怨霊から御霊への死霊観を論じる。後半で折口信夫の巫女観と柳田国男の祖先観を検討し、巻末にあとがきと初稿発表覚書を付す。