上野松坂屋の恐山展と口寄せ実演
どんな伝承か
昭和四十七年六月、東京・上野広小路の松坂屋で恐山展が開かれた。会場は連日の人出で埋まり、あわせて催された口寄せの実演にも希望者が次々と申し込んで、主催した側が驚くほどの反響となった。著者はこれを、都会に住む人々が呪術や宗教の世界からすっかり抜け出たと見るのは早計だという証しに挙げている。先立つ昭和四十二年二月にも、浅草の松屋百貨店で二週間にわたるイタコの実演があり、口寄せを頼む者が殺到したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点(桜井徳太郎・桜井徳太郎・歴史民俗学・1977年(昭和52年))
『霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点』は、桜井徳太郎が一九七七年(昭和五十二年)に著し、筑摩書房から刊行した論文集である。昭和三十二年から五十年にかけて学会誌や雑誌、新聞に発表した論考を収め、民俗学と歴史研究の関係、郷土の民俗像の史的復元、古代のシャマニズムと憑霊、呪いの人形、怨霊から御霊への死霊観を論じる。後半で折口信夫の巫女観と柳田国男の祖先観を検討し、巻末にあとがきと初稿発表覚書を付す。