妻の亡霊が生んだ上棟式の供えもの
どんな伝承か
ある大工の棟梁が大きな普請の建前の際、家の一番大事な柱を五寸ほど短く切り落として使えなくしてしまい、心配のあまり寝込んだ。妻が、柱の上に四つに組んだものを載せて屋根を付ければかえって恰好がつくと教え、棟梁は喜んだが、女房の知恵と知れては名にかかわると思い妻を殺してしまった。以来、建前のたびに妻の亡霊が出て苦しめられ、役の行者に、霊を祭れば禍は福に転じると諭された。それで棟には五色の旗を立て、麻や鏡、毛髪、紅、白粉など女の物を供えるようになったという。
原典より
話者 故渡部幸夫(都沢)昔、あるところに大工の棟梁がいた。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史・自治体史(民俗))
福島県猪苗代町(会津)に伝わる口承を語り手付きで網羅する。昔話は猫と単・ほととぎす・かちかち山・猿蟹合戦などの動物昔話、五月節句の菖蒲とよもぎ・澄子と清子・朝鮮の桃太郎・話三両・亀ヶ城の女中の一つ目小僧・花咲爺さん・竹の子童子・猿むこ入り・笠地蔵・こぶ取り爺さん・姥捨て山・片目の爺さまなどの本格昔話を収める。