猪苗代湖最深部の竜神と大亀
どんな伝承か
臺下浜から南へ一キロ、山潟の五万堂山の大崎の鼻から西へ一キロほどの所で交差する沖合いは猪苗代湖で最も深く、舟子や湖畔の人々は三把すげと呼んで昔から恐れてきた。六十トンの新式の汽船でさえ突風に遭って大揺れし、甲板の米俵が湖面に放り出されて竜神に貢を納めたことがあるという。また会津丸の機関長がここで大きな亀が浮いているのを見つけて通報したが、指した方角に亀の姿はなく、機関長は急に健康を害して突然死んだ。大亀を見て急死した者は他にもあり、湖の主は大亀だとも伝わる。湖の護り神は竜神で、深い水底の奥に竜宮があると古老は語り継いできた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。