首なし行列を窓から見て血を吐いた男
どんな伝承か
首なし行列が城下を通るので、決して外をのぞいてはならないとされた四月二十四日の夜のこと。よその国から来て武家に奉公していたらしいある男が、夜中にふと目を覚ました。用を足しに起きようか迷っていると、往来に面した窓の下で、急に大勢の足音がする。何事かと窓を開けてみると、首のない白装束の武者たちが、列をなして次々に通り過ぎていった。翌朝、起きてきた男の顔を見た者は皆、どこか具合が悪いのではないかと尋ねた。男は返事もしなかったが、朝食の席でしつこく問いただされ、とうとう昨夜首なし行列を見たことを打ち明けた。話し終えたとたんに容体が急に変わり、男は血を水のように吐いて、そのまま息を引き取ったという。
原典より
話しきると、容態が急激に變つて、血を水のやうに吐いて其儘息を引とつた。—— 民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)
『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。