千金の高札と春日の告げ
どんな伝承か
義実夫妻は娘の代わりを買うと決め、郡内に世継ぎの娘、齢は十五・六、価千金と書いた高札を方々に立てさせた。しかし千金と聞いても大蛇に娘をやる者はなく、売り手は現れない。夫妻は良策を求めて白山権現に休まず参詣し続けた。ある夜、枕に春日大明神が現れ、西方はるかな筑紫松浦の里に、長谷観音の仏罰で三国一の貧乏となった松浦長者の娘がいる、その娘こそ引き受けるだろうと告げて消える。義実は三千両を背負って人買い商人となり筑紫へ下り、愛宕の庄司に尋ねて佐用姫の住まいを教えられたという。
原典より
義実とて親である思いは同じ、杖とも柱とも頼むただ一人のわが子なれば女房の言葉に従って娘を買うことに決め、郡内に「世継ぎの娘、齢は十五・六、価千金」と書いて方々に高札を立てさせた。—— 胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。