七つの宝と子授けの長谷寺
どんな伝承か
安閑天皇の代、筑紫肥前松浦の里に松浦長者という富者が住んでいた。黄金の湧く山九つ、白銀の山十三、涸れぬ泉七つ、若返る音盤の松、邯鄲の夢の枕、麝香の犬、飛剣という七つの宝を持ちながら、子だけが授からなかった。夫婦は長谷寺に籠って祈願し、七七日目に観世音が老僧の姿で現れ、前世の殺生の罪ゆえ子は授からぬと告げる。それでも祈り続けると、四歳になれば父母のどちらかが失われるという約束で女子を授かった。生まれた小夜姫が五歳になったとき、長者は観世音を偽りと嘲って病に倒れ、四十四歳で世を去ったという。
原典より
人皇二十七代安閑天皇の代に、九州は筑紫肥前松浦の里に松浦長者と申す者が住んでおりました。—— 胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。