素性を明かし角筏を組んだ大蛇
どんな伝承か
水中から二十ばかりの女となって現れた大蛇は、姫の前にかしこまり、自分はもと上下三沢の大将高山掃部長者の女房で、邪見の心ゆえに大蛇の苦しみを受け、この池に住むこと九百九十九年、その間に美しい女を呑むこと九百九十九人に及んだと語った。そして今日、姫に巡り会って成仏できると手を合わせて拝んだ。姫が故郷の母に会えねば生きる甲斐がないと言うと、大蛇は十六の角で神通の筏を作り、姫とともに角筏に乗って池を押し破り、松浦へ向かって発ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。