大川に化けた旧軍用滑走路
どんな伝承か
昭和二十一年のことである。六十歳の男が友人の家でどぶろくを馳走になり、午後四時頃に辞して魚屋へ寄った。三十分も経たぬのにあたりは暮れかかっている。おかしいと思いながら滑走路の交差する所まで来ると、さきほど横切った滑走路が大川となり、ごうごうと音を立てて流れていた。男はゴム足袋を脱ぎ、ズボンを脱ぎ、着物をまくり上げて渡ろうとした。そこへ友人が名を呼び、何をしていると声をかけた途端、大川は消えて雑草の生えた滑走路の中に立っていた。友人は、滑走路工事で住処を追われた古狐の仕業だと言った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。