犬神屋敷の跡を買って犬神持ちに
どんな伝承か
昭和二十七年二月に受理された、島根県邇摩郡湯里村の毛利黒次郎(仮名)の訴え。毛利の祖先が宅地を買ったところ、その宅地は犬神屋敷の跡であった。それ以来、毛利の家は犬神持ちだといわれるようになり、親戚からは縁切りされた。本人は現在も結婚問題で苦しんでおり、毛利の母親はそれを苦にして気が変になり死亡したという。この例では、土地を買っただけで犬神持ちが伝染するとされている点に興味がある。
原典より
更にまた、昭和二十七年二月に受理された、島根県邇摩郡湯里村の毛利黒次郎(仮名)の訴えによると、毛利の祖先が宅地を買ったところ、その宅地が犬神屋敷の後だつたので、…—— 憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・1953年(昭和28年)初版・1956年(昭和31年)新版) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・1953年(昭和28年)初版・1956年(昭和31年)新版)
『憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)』は、速水保孝が昭和二十八年に著し、昭和三十一年に書き加えて新版とした研究書である。出雲・隠岐を中心とする山陰の狐持ちなど、家筋に結びつけられた憑きもの迷信を、法務局が扱った人権事件、藩の触書や村の古文書、加茂町の世帯調査から集めている。狐持ちの家に生まれた著者の体験から説き起こし、江戸中期以降の新興地主への反感に起こりを求める。柳田国男が序を寄せている。