十腰に一つ足りぬ大蛇の婿入り
どんな伝承か
十腰内という地名の由来を語る話である。岩木山麓に住む大蛇が刀鍛冶の娘に恋をし、鬼人丸という若者に化けて通ってきた。刀鍛冶は、九日のうちに刀を十ふり鍛えれば婿にしようと答えた。鬼人丸は約束どおり打ち上げたが、正体を知った刀鍛冶が一ふりを隠したため十腰に足りず、若者は嫁を得られぬまますごすごと立ち去った。村人たちは後の難を恐れて、この大蛇を飛竜観音として祀ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。