子供と遊びたがった茂草の石神
どんな伝承か
茂草のヌカモリ山に祀られた神は子供が大好きで、いつも遊びに来るのを待っていた。子供らは毎日ご神体を持ち出し、胴に縄を結んで山の頂から葦原の大谷地の水溜まりへ転がし、また引き上げて遊んだ。泥と水に濡れたご神体は、不思議と軽くなって上がったという。ある日、通りかかった女が罰が当たると叱ったので子供らは寄りつかなくなり、寂しさに耐えかねた神は女の目を見えなくした。イタコに占ってもらった女が二十一日詫びると目は開いたという。のちに松前の殿様が村々の社を海へ捨てさせたが、この神体だけは動かず、かえって堂を建てて祀られた。
原典より
茂草のヌカモリ山にまつった神様は、とても子供が大好きで、いつもヌカモリ山に子どもたちがあそびに来るのを待っていました。—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。