福蔵寺の猫塚と大鼠を斬る猫使い
どんな伝承か
二戸市浄法寺町の福蔵寺には猫塚という塚があり、慶長十九年あたりのものらしいと語られる。昔、浄法寺の寺の和尚が何十人も行方知れずになった。侍あがりの猫使いが小僧一人の寺に泊まると、連れて来た猫の様子がおかしい。猫の案内で、刀の先に太い蝋燭を挿して奥の部屋の戸を開けると、土佐犬のような大きな鼠がいた。和尚たちを食い殺していたのはこの鼠で、猫使いはこれを斬り殺した。のちに和尚たちを葬る日、骨を入れた箱が木の上へ吊り上げられ、何十人の和尚が経をあげても下りない。最後に出た猫使いが「トラヤァトラヤァナムトラヤァノヤァ、チャーロチャーロ」と唱えると箱は下りた。その猫を葬った場所を猫塚という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。