手形の大石が残る楯築明神
どんな伝承か
楯築明神は本社の高さ八尺、山林の周囲十間、石の鳥居があり、麓には牛王社が建つと記す。山の頂には高さ一丈余、幅三尺ほどの石が立てられ、西にも一間ほどの石を立て、その前に大石を据えている。宮の東にある丸い大石には、左右に大きな手の形が彫り込まれているという。土地の人の言い伝えでは、昔、吉備津彦命が温羅と戦ったとき、温羅が日指山の東の丘に陣を取ったので、命はこの日幡山の石を楯として攻め寄せた、その旧跡なのだという。記者は、近ごろ足形の付いた青い平石をどこからか探し出して神体としているのを蛇足だと難じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。