小石の道で島を出た弁慶
どんな伝承か
陸から五十間ばかり沖に浮かぶ小島がある。古老の伝えるところでは、むかし武蔵坊弁慶は幼いころから悪党の生まれつきであったため、この島へ放り出された。しかし弁慶は並の子どもではなく、袂に小石を入れては運んで陸への道をこしらえ、ついに人里へ帰ったという。島から陸へ続く小石の道筋は今も残っており、そのために里人はこの島を弁慶島と呼ぶ。島には弁慶が両親のために建てたという石塔があり、六地蔵が彫りつけてある。陸への道には二十五間ばかりの切れ目があって、そこは飛び渡ったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。