惣五郎を渡した甚兵衛の身投げ
どんな伝承か
甚兵衛渡しというのは、甚兵衛という爺さんが惣五郎様を渡したという話である。惣五郎様は夜のうちに家へ戻って妻や子に会い、明けぬうちにまた向こうへ帰らねばならなかったので、爺さんは行きと帰りの二度、舟を出して送った。舟を出せば自分の命がないと知っていた爺さんは、その場で印旛沼に身を投げて死んだのだと聞いている——成田市北須賀の古老はそう語る。『成田市史』所収。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。