作柄を映す藤野町の天狗坊の淵
どんな伝承か
津久井郡藤野町に、天狗坊と呼ばれる大きく深い淵がある。この淵は年ごとに深さが変わり、土地の人はその深い浅いを見て、その年の作物が豊作か凶作かを知ることができたという。とりわけ、砂利が多くたまって淵が浅くなっている年は、穀物の相場が高くなるといわれてきた。淵の水の深さが、そのまま実りと米相場を占う目安として受けとめられていたのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。