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海から現れた谷熊の海上り地蔵

所在地愛知県田原市谷熊町(宝樹寺)
年代寛正二年(1461)六月
登場船長
出典愛知県伝説集

どんな伝承か

渥美郡田原町は室町の昔から良港として開け、伊勢や尾張と行き来していた。寛正二年六月、田原町谷熊の商船が伊勢へ渡る途中、行く手の海上が急に割れて、海中から地蔵尊が現れた。船長が戯れに、衆生を済度なさるおつもりならここで船をお待ちなさい、帰り船できっとお連れすると言うと、地蔵尊は優しい笑顔で頷き、たちまち姿を消した。五日ほど後、同じ海域で地蔵菩薩が炎のような勢いで浮かび上がったので、船長は恐れおののいて尊像を船へ移し、村へ帰って小さな住まいを作り安置した。ある晩、夢枕に立った地蔵尊の望みに応じ、村人が寺を建てて願王山宝樹寺と名づけ祀った。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))

『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。

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