豊島池の主を撃った六蔵一家の祟り
どんな伝承か
福江の古田に住む六蔵は鉄砲の名手で、領主戸田家の猟番に取り立てられていた。ある日前山でうたた寝中に小蛇を払いのけ、続いて現れた大猪を追って亀山の石塔山で撃つと、それは一丈もある大蛇だった。女房に勧められて裏の小窓からとどめを撃ったが、その夜から高熱を出して死んでしまう。遺された娘のおくすは十七、八のころから「自分は豊島池の主だ」と口走るようになり、座敷牢を破って姿を消した。池のほとりの三本松に着物と草履だけが残り、亡骸は見つからなかった。以来六蔵の家筋には不幸が続き、豊島池の祟りと恐れられた。また中山村の八兵ヱは池の主が化けた白馬に脅され、子孫は大晦日ごとに供物を欠かさないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。