千人塚が動いた井田の戦と西光寺の逆芋
どんな伝承か
明応二年十月、岡崎城主の松平親忠は井田村で阿部孫次郎や三宅加賀守らの連合軍を破ったが、敵味方の戦死者は山をなした。親忠は遺体を集めて手厚く弔い、千人塚を築いた。ところがこの塚は夜ごと怪しい音を立てて動き、近くの集落には悪病がはやって村人を苦しめた。そこで親忠は井田村に仮の庵を結んで籠り、七日七晩みずから経を読んで祈った。この庵がのちの西光寺の前身である。この寺の境内に芋を植えると必ず芽が逆さに出るといい、戦死者たちの思いが残っているためだと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。